倍精度実数の精度で設計されているJW-CADの回転系(角度系における)誤差問題を試してみました。
JW-CADの歴史は古くNECのPC98シリーズのDOS版で動いていました。当時と変わらないインターフェースそのままで、現在まで利用されていますが。
よく言われるのが、「誤差」の問題。建築CADとしては人気ですが、土木・機械では使われません。理由が数値において倍精度実数での計算で精度が出ないからです。建築は長さはミリ単位で、100ミリなら、100.5ミリ程度の精度でも実際には問題がないケースがほどんどです。
ですが、例えとして測量は離れた二点間の距離の片方にトランシットと呼ばれる角度・距離測定器(これが軍艦の測距儀と全く仕組みが同じ)を据えて、反対の測定地点の距離を測り、そこから回転角度と距離から求める位置を割り出します。この回転角度で誤差が出やすいのです。
以前、JW_CAD他で軍艦旗のデザインを描いたことがありました。
軍艦旗の寸法に関する書籍を参考に下記の式にて作図したCAD図です。
なぜか、11.25°残っているはずなのに「360-11.25°=348.75°」となり、寸法で測った角度は「348.45°」でなんと「0.3°」足りないのです。
さらに問題は、DXFにして保存したJW_CADのデータ。
DXFファイルバージョン R12と呼ばれる形式で読み書きできますが、この形式でしかJW_CADは出力できません。このデータをAUTOCAD系に読ませて、角度を測定すると誤差が発生します。45度など割り切った数はいいのですが、78.03°といった角度では誤差がでます。これが距離が300mとなると数センチの誤差となり、さらに距離が離れると目も当てられません。それを信じて建築して後で登記段階になると境界を越えてしまうという危険性も現実に起こりうることになります。
測量図として利用するには信用に値しない。これに尽きると思います。
なお、300mのサイズ感で作図していましたので最大の500で指定しても文字がゴマ粒でしたので最後の放射線状図は3mほどで書き直しました。
問題は、下記のような三角形の一片の角度が78.03°だったJW_CAD図をR12VerのDXFに変換してAUTOCAD系に読ませて角度を測定すると。。。
45°の傾きなら、問題はありません。割が良いからでしょうか。
45°から78.03°の三角形をつくってみました。
それをdraftsightに読み込み。78.03°の辺を角度測定ー>78.0148°となりました。ここで誤差が発生しています。
QCADに読み込ませても、同じく78.0148°でした。
この距離を測定すると、起点から300m離れた二点が78.03°と78.0148°の差=0.0152°となると距離は「0.79578mm」のずれが発生する。
QCADで、300m(300000mm)の78.03°と78.0148°を描いてみました。
0.0152°の差しかありません。線が重なっているように見えます。
300m先の「先端」部分を拡大します。
「0.79578mm」のズレ。これにトランシットにての測量誤差がある場合、8ミリ以上の誤差が出る可能性があります。さらに、この点を基準に90°振ってさらに300mいくと、さらに「0.79578mm」ずれるわけです。
かなり問題です。この位置に鉄骨をたてるとしてアンカーボルトがずれるとなると鉄骨などが正確な位置に立たないことになります。
以上誤差が発生する可能性があることを説明させていただきました。
放射線状を11.25°で描くと32本で360°になるはずが、
31本目で348.75°のはず。
32本目で360になるはず。
が、31本目で348.45°となり、残りが11.55°のはずが、なぜか
「11.25°」なっている。
というJW_CADで描いた図の記事です。
将来、建築界隈の入札で「使用されるCADデータは倍精度浮動小数点演算が可能なCADソフトで作図された図面であること」という一文が入った時点で、JW_CADしか使えない会社は入札参加資格を得られない可能性があると考えたのです。
覚えておくと便利なサイト
下記に角度と辺で三角形のそれぞれの角度・辺の長さを求めるよいTOOLがありました。
https://www.alps-survey.co.jp/math/cosine_formula.html 3辺、3角、どれか3つわかれば、他が求められるTOOLサイト
参考に利用されるとよいと思います。
次回をお楽しみに。
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