駆逐艦 雪風:その誕生と栄光の歴史
概要
駆逐艦「雪風」は、第二次世界大戦中に日本海軍が運用した陽炎型駆逐艦の8番艦です。その優れた性能と、数々の激戦を生き抜いた幸運艦として名を馳せています。雪風は1938年に起工され、1941年の太平洋戦争開戦から終戦に至るまで数多くの作戦に参加しました。
建造と諸元
- 建造所: 佐世保海軍工廠
- 起工: 1938年8月2日
- 進水: 1939年3月24日
- 竣工: 1940年1月20日
諸元:
- 全長: 118.5m
- 全幅: 10.8m
- 吃水: 3.8m
- 排水量: 2,033トン(基準)
- ボイラー:ロ号艦本式缶3基
- 主機:艦本式衝動タービン2基2軸、52,000馬力
- 航続距離: 18ノット/5,000海里
- 速力: 35.5ノット
- 乗員: 約239名
兵装:
- 50口径3年式12.7cm連装砲C型×3基
- 九二式酸素魚雷4連装発射管×2基
- 九六式25mm対空機銃(戦争後期に増設)
- 爆雷投射機
主な戦歴
- フィリピンのレガスピに対する上陸支援(1941年12月)
- 第16駆逐隊第二小隊として参加。
- スラバヤ沖海戦(1942年2月)
- ミッドウェー海戦 には第二艦隊司令長官近藤信竹中将指揮する第二艦隊攻略部隊として参加(1942年6月)
- 南太平洋海戦(1942年2月)
- ガダルカナル島の戦い(1942–1943年)
- 第三次ソロモン海戦第一夜戦に参加。比叡損傷後に護衛に付くも復旧の見通し立たず一旦離脱後に現地へ向かうが比叡の姿はなかったと言われています。比叡の魚雷処分については懐疑的な記述がウイキペディアに記載があります。
- ガダルカナル島撤収作戦参加
- コロンバンガラ島沖海戦(1942年7月)
- レイテ沖海戦(1944年10月)
- 栗田艦隊の一員として戦闘に参加。
- 坊ノ岬沖海戦、いわゆる「天一号作戦」)に同行(1945年)
- 戦艦大和と共に第二水雷戦隊として参加、帰還
雪風は激しい戦闘を幾度も乗り越え、生存率の高さから「奇跡の駆逐艦」として知られるようになりました。
幸運艦としてのエピソード
雪風は日本海軍の艦艇の中でも特に「幸運艦」と呼ばれる存在でした。その理由は以下の通りです。
- 多くの作戦で損傷を免れる。
- 艦の乗員の生存率が極めて高い。
戦後の運命
雪風は終戦後、中国海軍に引き渡され「丹陽」と改名されました。その後、1970年代まで使用され、最終的には退役しました。
雪風の歴史的意義
雪風はその卓越した性能と幸運の象徴として、今なお多くの人々に語り継がれています。戦争の厳しい現実を生き抜いたこの艦は、現代においても軍事史の重要な一部です。雪風の舵輪は江田島の旧海軍兵学校・教育参考館に、錨はその庭に展示されています。