マレー作戦1941 参加艦艇全記録——旗艦「鳥海」から輸送船団まで

マレー作戦1941 参加艦艇全記録——旗艦「鳥海」から輸送船団まで

1941年12月4日、海南島・三亜から出撃した日本海軍の艦隊は、輸送船18隻・護衛艦艇21隻という大船団でマレー半島へ向かった。この作戦を支えた艦隊と艦船の記録を追う。

IJN · MALAYA OPERATION · 1941 参加艦隊編成 Naval Order of Battle
馬来部隊指揮官
小沢治三郎 中将
南遣艦隊司令長官
南方部隊指揮官
近藤信竹 中将
第二艦隊司令長官
護衛艦艇総数
21隻
重巡5・軽巡1・駆逐艦14・駆潜艇1

馬来部隊(南遣艦隊)——小沢治三郎中将

マレー作戦の海軍主力を担ったのが小沢治三郎中将率いる馬来部隊(南遣艦隊)だ。小沢中将は「香椎」から旗艦を重巡洋艦「鳥海」に変更し、三亜を出撃。輸送船団を護衛しながらマレー半島への突入を指揮した。

旗艦・主力艦

艦種 艦名 備考
重巡洋艦(旗艦) 鳥海 高雄型4番艦 小沢中将座乗・馬来部隊旗艦
重巡洋艦 熊野 最上型3番艦 第七戦隊(栗田健男少将)旗艦
重巡洋艦 鈴谷 最上型4番艦 第七戦隊・英艦隊触接時に偵察機を発進
重巡洋艦 三隈 最上型2番艦 第七戦隊
重巡洋艦 最上 最上型1番艦 第七戦隊

第三水雷戦隊(橋本信太郎少将)——コタバル上陸護衛

艦種 艦名 備考
軽巡洋艦(旗艦) 川内 三水戦旗艦・コタバル上陸船団前方掃蕩
駆逐艦 綾波 第19駆逐隊・コタバル上陸直接護衛
駆逐艦 磯波 第19駆逐隊
駆逐艦 浦波 第19駆逐隊・開戦前にノルウェー商船を自沈させる
駆逐艦 敷波 第19駆逐隊
駆逐艦 朝霧・夕霧・天霧 第20駆逐隊・シンゴラ方面護衛
駆逐艦 叢雲・東雲・白雲 第12駆逐隊・シンゴラ方面護衛

特設水上機母艦

艦種 艦名 備考
特設水上機母艦 神川丸 零式水偵搭載・英軍飛行艇PBYを撃墜
特設水上機母艦 山陽丸 索敵・偵察任務

南方部隊本隊——近藤信竹中将

馬来部隊の後方支援として馬公を出撃した近藤信竹中将(第二艦隊司令長官)の南方部隊本隊は、戦艦2隻・重巡2隻・駆逐艦10隻という強力な陣容でマレー攻略船団部隊の支援にあたった。プリンス・オブ・ウェールズ・レパルス撃沈後は主力艦隊として展開した。

艦種 艦名 備考
戦艦 金剛 金剛型1番艦
戦艦 榛名 金剛型3番艦
重巡洋艦(旗艦) 愛宕 高雄型2番艦・近藤中将座乗
重巡洋艦 高雄 高雄型1番艦

潜水艦隊——英艦隊を最初に発見した艦

マレー沖海戦の端緒を開いたのは潜水艦「伊65」(原田毫衛艦長)だった。12月9日午後3時15分、プリンス・オブ・ウェールズとレパルスを含む英艦隊を発見し第一報を打電。この情報が第一航空部隊に伝わり、翌10日の撃沈へとつながった。

艦種 艦名 備考
潜水艦 伊65 英艦隊発見の第一報・第四潜水戦隊
軽巡洋艦(潜水戦隊旗艦) 鬼怒 第四潜水戦隊旗艦・水偵で英艦隊触接
軽巡洋艦(潜水戦隊旗艦) 由良 第五潜水戦隊旗艦・水偵未帰還

南部タイ上陸護衛艦艇

ナコン・バンドン・チュンポン方面へ上陸する宇野支隊を護衛したのが練習巡洋艦「香椎」と砲艦「占守」だ。「香椎」はもともと小沢中将の指揮旗艦だったが、重巡「鳥海」に旗艦を移譲した後もタイ南部上陸護衛任務を担った。

艦種 艦名 担当方面
練習巡洋艦 香椎 チュンポン・バンドン方面護衛
砲艦 占守 ナコン方面護衛

輸送船団——2万人の将兵を運んだ艦船

マレー半島への上陸を担った輸送船は合計18隻。そのうち3隻がコタバル上陸に、17隻がシンゴラ・パタニ方面へ向かった。

コタバル上陸(佗美支隊輸送)
淡路山丸(被弾炎上・放棄)、綾戸山丸、佐倉丸(防空基幹船・重武装)
シンゴラ・パタニ方面(安藤支隊・主力輸送)
東山丸、金華丸、阿蘇山丸(3隻ともO16潜水艦の攻撃で大破着底)、山浦丸、智利丸、錦隆丸、鬼怒川丸、相模丸、宏川丸 他
タイ南部上陸(宇野支隊・吉田支隊輸送)
白馬山丸(バンコク南方・単独上陸)、神川丸、山陽丸(特設水上機母艦兼任)

※コタバル上陸の「淡路山丸」は12月8日に被弾炎上・放棄。同艦は12月12日にオランダ潜水艦「K12」の雷撃を受け全損となった。

英艦隊——撃沈された「不沈艦」

マレー作戦で日本海軍と対峙したイギリス東洋艦隊Z部隊の陣容を以下に記す。

艦種 艦名 結末
戦艦(旗艦) プリンス・オブ・ウェールズ 12月10日撃沈。フィリップス中将も戦死
巡洋戦艦 レパルス 12月10日撃沈
駆逐艦 エレクトラ・エクスプレス 生存者救助後シンガポールへ帰投
駆逐艦 テネドス・ヴァンパイア テネドスは燃料不足で事前に分離帰投
「イギリス海軍始まって以来の悲しむべき事件が起こった」——チャーチル英首相、議会への報告

この戦いが示したもの

マレー作戦における海軍の役割は輸送船団の護衛と英艦隊の撃退に尽きる。重巡「鳥海」を旗艦とした小沢艦隊はその任務を完遂し、英戦艦撃沈後はベンガル湾での通商破壊作戦まで展開した。

一方でオランダ潜水艦「O16」による輸送船3隻の撃沈は、日本側が軽視していた潜水艦の脅威を浮き彫りにした。そしてプリンス・オブ・ウェールズ・レパルスの撃沈は「戦艦の時代の終焉」を全世界に告げた海戦として歴史に刻まれている。


参考:Wikipedia「マレー作戦」「マレー沖海戦」「鳥海(重巡洋艦)」「小沢治三郎」ほか

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