睦月型駆逐艦11番艦「望月」——諸元と全戦歴、ウェーク島からジャキノット湾での最期まで

睦月型 · 11番艦 · 第30駆逐隊
MOCHIZUKI 望月
弥生の83名を救い、1012名を救助した「救う艦」

浦賀船渠が建造した睦月型駆逐艦11番艦。ウェーク島攻略戦を生き延び、「弥生」乗組員83名の救出、第三次ソロモン海戦での1,012名救助を成し遂げた。1943年10月24日、ジャキノット湾での揚陸中に空襲を受け戦没した艦の諸元と全戦歴。艦名は海上自衛隊護衛艦「もちづき」に継承されている。

SPEC
基本諸元サマリー
TYPE
睦月型 11番艦
DISPLACEMENT
1,315 t
MAX SPEED
37.25 kt
MAIN GUN
12cm単装 × 4
TORPEDO
61cm × 6射線
FATE
1943.10.24 ジャキノット湾で戦没
艦名望月(もちづき)
艦型・番艦睦月型駆逐艦 11番艦
計画名称第33号駆逐艦
建造所浦賀船渠
命名1925年(大正14年)6月25日
竣工日1927年(昭和2年)10月31日
改名1928年(昭和3年)8月1日、「第33号駆逐艦」より「望月」に改称
除籍日1944年(昭和19年)1月5日
類別一等駆逐艦
佐世保鎮守府籍
全長102.72m
基準排水量1,315t(竣工時)/改修後1,445t
出力38,500馬力
速力公試37.25ノット(竣工時)
主砲45口径三年式12cm単装砲 4門
魚雷発射管一二年式61cm3連装発射管 2基(6射線)——日本駆逐艦初の61cm雷装
爆雷兵装八年式爆雷投射機
初代艦長岩原盛恵中佐(1927.7.25〜)
最終艦長岩渕悟郎大尉(1943.10.15〜戦没時)
所属部隊第30駆逐隊(睦月・如月・弥生→卯月)/第六水雷戦隊→第八艦隊・第三水雷戦隊他
特記事項1942年9月、「磯風」とともにノーマンビー島の「弥生」乗組員83名を救出。同年11月の第三次ソロモン海戦では沈没した輸送船から1,012名を救助した
最期1943年10月24日午前0時20分、ニューブリテン島ジャキノット湾で陸戦隊揚陸中に空襲を受け被弾、沈没。戦死10名。僚艦「卯月」が生存者を収容
戦後艦名は海上自衛隊の護衛艦「もちづき」に継承された
HISTORY
望月 全戦歴タイムライン
1925年6月25日 — 命名
浦賀船渠で建造予定の一等駆逐艦に命名(第33号駆逐艦)
  • 1927年10月31日に竣工、佐世保鎮守府に所属。1928年8月1日、「望月」と正式に改称された。
1937年 — 支那事変
中支・南支方面に進出
  • 太平洋戦争開戦時には「睦月」「如月」「弥生」とともに第30駆逐隊を編成、南洋部隊第六水雷戦隊に所属。
1941年12月11日 — ウェーク島攻略戦
「疾風」「如月」喪失も被害なし
  • 陸上からの砲撃と空襲で「疾風」「如月」を喪失、作戦は一時失敗するも「望月」に被害はなかった。
  • 12月21日以降の第二次攻略作戦にも参加、ウェーク島を占領。
1942年前半 — 南太平洋各作戦
ラバウル・ラエ・サラモア・珊瑚海海戦
  • 第六水雷戦隊とラバウル・ラエ・サラモア・ブーゲンビル島の各攻略作戦に参加。5月上旬の珊瑚海海戦にはポートモレスビー攻略部隊として参加。
  • 5月25日、「卯月」が第30駆逐隊に編入。6月以降はガダルカナル島設営作戦・船団護衛に従事。7月13日、修理のため「弥生」とともに佐世保帰港。
1942年8月24-25日 — 第二次ソロモン海戦
沈没空母「龍驤」の搭乗員救助
  • 沈没した空母「龍驤」艦載機で不時着した搭乗員の救助を行う。
1942年9月21-26日
弥生乗組員83名の救出
  • 9月11日、僚艦「弥生」がミルン湾で空襲を受け沈没。「磯風」とともに乗員救助活動に従事。
  • 9月21-22日、ラバウル出撃、カッターボート10名を収容するも本格捜索は天候不良で延期。
  • 9月25-26日、再出撃し梶本顗艦長以下83名の救出に成功。帰途、気象観測船「恭洋丸」乗員も捜索するも消息得られず。
1942年10月 — 輸送・支援作戦
ヘンダーソン基地艦砲射撃支援、ガ島輸送
  • 10月14日、重巡「鳥海」「衣笠」のヘンダーソン基地艦砲射撃を「天霧」とともに護衛。
  • 10月16-17日のガダルカナル島輸送作戦にも参加、「天霧」とともに飛行場への艦砲射撃を実施。
1942年11月14-15日
第三次ソロモン海戦、1,012名を救助
  • 輸送船団11隻を護衛してガダルカナル島へ向かう途中、空母「エンタープライズ」艦載機・ヘンダーソン基地航空隊・B-17重爆の反復攻撃を受ける。
  • 「望月」は沈没船から1,012名の将兵を救助。被弾した「佐渡丸」を「天霧」とともに護衛しショートランド泊地へ帰投。
  • 海戦後、損傷した軽巡「五十鈴」を護衛しトラック泊地へ、11月20日到着。12月1日、「睦月」「弥生」を喪失した第30駆逐隊は解隊。
1942年12月18-19日 — フィンシュハーフェン輸送
陸戦隊揚陸、帰途に至近弾
  • 「朝」とともにフィンシュハーフェンへ陸戦隊揚陸。帰途、至近弾により水線付近に破孔を生じ、戦死者40名以上を出す。
1943年1月9-13日 — ムンダ・レカタ輸送
座礁も翌日離礁
  • 1月9日、水雷艇「鴻」と輸送船「西阿丸」を護衛しムンダ輸送。13日、敷設艦「津軽」とレカタ輸送実施中、湾外の暗礁で座礁するも翌14日離礁。
  • 2月、佐世保に帰港し修理。
1943年3-6月 — ラバウル方面輸送再開
レカタ・ツルブ・コロンバンガラ輸送
  • 3月30日、「三日月」「卯月」と第30駆逐隊が再編成、第三水雷戦隊所属に。4月〜5月、「天霧」とレカタ輸送を複数回実施。
  • 5月28日・31日、ブイン〜レカタ輸送。6月4-7日、ツルブ輸送。6月27-28日、コロンバンガラ島輸送(陸兵900名・物資100トン)。
1943年7月5-6日 — クラ湾夜戦
大発曳索の事故、単艦帰投で被弾
  • 第一次輸送隊(望月・三日月・浜風)として参加。大発動艇の曳索をスクリューに巻き込む事故で「浜風」「三日月」から遅れる。
  • 7月6日午前3時、揚陸を終え単艦で帰途につくも、4時10分に米艦隊から砲撃を受け小破。魚雷1本を発射し離脱。
  • 「新月」沈没、「長月」座礁放棄。ラバウルで応急修理、7月15日完成。
1943年7月17-20日 — ブイン空襲
「皐月」に横付け中、大空襲
  • 「望月」は「皐月」に横付けし重油補給中、大型爆撃機19機・戦爆連合約150機の大空襲を受ける。「初雪」沈没、「皐月」「水無月」小破。翌日にも空襲を受け「望月」小破。
  • 18日再出撃、19-20日の輸送作戦は成功も「清波」「夕暮」沈没。
1943年7月29日〜9月 — 修理・護衛
熊野護衛でトラックへ、佐世保で本格修理
  • 損傷した重巡「熊野」を「皐月」とともに護衛しトラックへ。8月15日、佐世保到着し本格修理。9月21日出撃、29日ラバウル帰着。
  • 10月7-8日スルミ輸送、21-22日ブカ島輸送を実施。
1943年10月23-24日
ジャキノット湾、揚陸中に戦没
  • ニューブリテン島ジャキノットへの米軍上陸情報を受け、「望月」「卯月」に陸戦隊約100名の輸送が下令される。
  • 10月23日16時15分、両艦ラバウル出撃。24日午前0時20分、揚陸中に空襲を受け「望月」被弾、沈没。戦死10名。
  • 「卯月」は揚陸を断念し「望月」生存者を収容、ラバウルへ帰投。
1944年1月5日 — 除籍
帝国駆逐艦籍より除籍
  • 艦名は後年、海上自衛隊の護衛艦「もちづき」に継承された。
RECORD
望月 全艦歴まとめ
望月は1927年に浦賀船渠で竣工した睦月型駆逐艦11番艦。ウェーク島攻略戦を無傷で乗り切り、1942年9月には僚艦「磯風」とともにノーマンビー島の「弥生」乗組員83名を救出、同年11月の第三次ソロモン海戦では沈没した輸送船から1,012名もの将兵を救助した。その後もソロモン諸島各地への輸送任務を重ね、クラ湾夜戦での被弾やブイン空襲を乗り越えたが、1943年10月24日、ニューブリテン島ジャキノット湾での陸戦隊揚陸中に空襲を受け被弾、沈没した。戦死10名。僚艦「卯月」が生存者を収容してラバウルへ帰投した。1944年1月5日に除籍。艦名は後年、海上自衛隊の護衛艦「もちづき」に継承されている。
1,012名を救った一夜——第三次ソロモン海戦で望月が救助した将兵の数は、睦月型19隻の中でも際立っている。「救う艦」としての望月の本領が最も発揮された瞬間だった。
救う側から救われる側へ——弥生の83名を救った望月自身も、最期は僚艦「卯月」に生存者を託すことになった。駆逐艦にとって「救う」と「救われる」は常に隣り合わせだった。

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■ 参考文献・資料

  • ・アジア歴史資料センター(JACAR)第六水雷戦隊戦時日誌戦闘詳報・第四水雷戦隊戦時日誌・第八艦隊戦時日誌・第三水雷戦隊戦時日誌戦闘詳報
  • ・防衛省防衛研究所 戦史叢書49『南東方面海軍作戦(1) ガ島奪還作戦開始まで』、戦史叢書83『南東方面海軍作戦(2) ガ島撤収まで』、戦史叢書96『南東方面海軍作戦(3) ガ島撤収後』関連巻
  • ・佐藤和正『艦長たちの太平洋戦争 続編』光人社NF文庫、1995年
  • ・外山操『艦長たちの軍艦史』光人社、2005年
  • ・福井静夫『日本駆逐艦物語』光人社NF文庫、1993年
  • ・Wikipedia「望月 (駆逐艦)」「睦月型駆逐艦」「第三次ソロモン海戦」「クラ湾夜戦」
  • → 【諸元と全戦歴】卯月——加古救助からオルモック湾での最期まで
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